皆さんが攻略本を買うとき、どんな基準をつけて選んでいますか?ここでは、ブレスオブファイア2の攻略本について、どれを買えば元が採れるかを考えてみようと思います。
サブタイトルは省略しています。上に挙げた5タイトルのうち、始めの3つはSFC版を元に、残り2つはGBA版を元に編集されています。以降の記事では各本を出版社名で特定し、エンターブレイン刊の本は「公式本」と呼びます。
この後、鍔隠れ谷の隠者さんから徳間書店版についての情報を頂き、それと同期してつかCさんから徳間書店版の攻略本を頂きました。多謝。徳間書店版に関しての評価はページの最後のほう(こちら)にあります。(2002/3/14追記)
項目 | for SFC版 | for GBA版 | |||
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双葉社版 | 宝島社版 | 徳間書店版 | 集英社版 | 公式本 | |
初版発行日 | 1995/1/20 | 1995/1/20 | 1995/1/20 | 2001/12/26 | 2002/1/4 |
ソフト発売日 | 1994/12/2 | 2001/12/21 | |||
価格 | 1000円(税込)* | 980円(税込) | 690円(税込) | 1238円+税 | 1300円+税 |
サイズ・ページ数 | B6版223ページ | A5版111ページ | A5版111ページ | A5版191ページ | A5版191ページ |
色遣い | オールカラー | 33ページ以降 グレースケール | オールカラー | 35ページ以降 単色刷り | オールカラー |
カバー範囲 | ドラグニールまで | 大教会まで | ドラグニールまで | 最後まで | 最後まで |
データ配列 | 五十音順 | ROM内のID順 | 消費AP順(特能) 五十音順(アイテム類) | 強度順(武具) 五十音順(アイテム、敵) | 強度順(武具) 種類順(アイテム) シナリオ順(敵) |
シナリオ攻略 | ポイントを解説 | 概要のみ | ポイントを解説 チャート付き | ポイントを解説 | チャート付きの解説 |
隠し要素 | いくつかのヒントのみ | 皆無に等しい | 皆無に等しい | 半分程度 | ほぼ全て解説 |
マップ | 宝物は一覧表示 | つながりのみ記載 | 宝物は一覧表示 | 宝箱の位置から中身まで | モンスターリスト付き |
データの細かさ | 最小限のデータ | 必要十分な量 | モンスターデータ無し | 中途半端 | 詰めが甘い |
独自企画 | なし | あり | なし | あり | なし |
作りこみ | 高い | 高い | 普通 | 低い | 低い |
読みやすさ | 良い | やや読みにくい | 良い | 読みにくい | 普通 |
*1998/5/30発行の新訂版では1000円+税となっている。
なにより驚かされたのはGBA版の発売日のこと。集英社版が2001年12月21日、公式本が2001年12月25日と、ROM発売から1週間と経っていません。何らかの方法で21日以前に入手したとしても、執筆・校正・入稿・印刷・配送という一連の手間を考えると、10月頃にはCAPCOMからデータ提供を受けて作業に入っていたと思われます。こんなこと、一個人が出来るもんじゃござんせん。ま、はっきり言ってROM発売と同時に出る攻略本なんて役に立たないと相場は決まっているんですけどね…。
価格とページ数の釣り合いは、装丁や収録内容を考えればいずれも妥当な線と言えましょう。その中で双葉社版がB6版であるにも関わらず、200ページオーバーのオールカラーで1000円に抑えてあるのはなかなか凄いことだと思います。その反面、集英社版はやたら装飾が凝っていて、途中から単色刷りになるにも関わらず公式本とほぼ同じ値段になっています。それにも関わらず求める人が存在してしまうあたり、購買側として考えるべき問題ではないでしょうか?
やはりというか当然というか、公式本が一歩先を行っています。鎧の重さをはっきり示していたり、通常モンスターの特殊攻撃を書いてあったりなど「まあ公式本ならこの程度は当然だな」と思わせるだけのものはあります。しかし、その一方で「ここまで書きながらこれだけ!?」という出し惜しみのような物足りなさも感じます。装備特典を定性的にしか書いていない、モンスターデータで攻撃力・防御力まで書いておきながら行動力が書かれていないなど。このへんは編集者の完璧主義の度合いによるのでしょうが、なんか中途半端な感じが否めません。
そして一番の謎に思うのが、通常モンスターのデータがシナリオ順に配列されていること。一応、末尾に五十音順インデックスがありますが、どっちを基準に考えているのかわかりません。参照用として使うことを考えた場合、検索キーは大抵が名前か出現地域ということになります。前者は末尾に、後者はシナリオ攻略の一部として用意されていますが、シナリオ攻略中に書かれていたところで目的モンスターの出現地域がわからないことには無意味なわけで、結局五十音順に頼ることになります。その意味で、ことモンスターデータの参照については双葉社版のほうが使いやすいです。っていうか攻撃力とか守備力とか参照する人がどれだけいるのでしょうか?
その点、アイテムデータの配列まで五十音順に統一した双葉社版は中々思いきったことをすると思いますね。いわゆるスペースの都合というやつで特殊効果などは★マークを使って「存在する」とだけ示しています。引きやすさを重視してのことと思いますが、その反面、同じ装備系統内での比較がやりにくくなってしまいました。まあ、このへんはジレンマを抱える中身ですから、文句を言うべきところではありませんね。一番凄いと思うのはROM内のID順に並べた宝島社版。まさに我が道を行っている感じがします。提供されているデータ量は参照用として必要十分なのですが…しかし、なぜにID順?集英社版のデータ集は中途半端の一言に尽きます。はっきり言って役に立ちません。
攻略本の本筋とも言える内容ですが、はっきり言いましょう。謎解きを楽しみたければGBA版の攻略本を買ってはいけません。偏見に思えるかもしれませんが、事実です。GBA版の攻略本はそれだけ皆が詰まりやすいポイントを抑えているわけですが、それは裏を返せばゲームを解く楽しみを根こそぎ奪っていることでもあるわけです。
そんな個人的不満は他所に置いて記載内容を見ると、集英社版はマップに補足説明をつける形でショップデータや攻略ポイントを載せています。宝島社版はタウンガイドとダンジョンガイドを別章立てとし、「何が起こりうるか」を載せているのみで、宝箱の位置や中身、具体的な攻略ポイントは伏せられています。さらに双葉社版と公式本はシナリオ解説とマップ掲載が交互に続く形になっていて、公式本では節毎にフラグチャートが設けてあります。基本的にGBA版は手取り足取り書かれており、迷う心配がないという点では評価できます。
ボスなどバトルに関しては双葉社版がかなり的確なアドバイスを載せています。よく読んでみるとスイマー城を3人で攻略しており、執筆者は意外にやりこんでいるなあと思わせます。できればバンドオ教会も3人で落として欲しかったですが…。集英社版はシナリオ攻略を細かく載せていながらバトルは簡略化しすぎですね。データ集にもそれが色濃く現れています。で、問題は公式本。正攻法という最も攻略本らしく、且つ最も攻略本らしくない戦法を採用した心意気は買えますが、的を外した攻略を多く見受けます。勝てないとかそういうわけではありませんが、執筆者はあまりゲームをやっていないのでは?と思わせますね。ウパルパにババルなんて、2回目からは誰もやりませんよ…。ガードアイを右からつぶすなんて、かなり根性要りますよ…。
独自企画やレイアウトなど、データ提供や攻略ガイド以外の要素ですが、何より宝島社版の作りこみの凄さが光ります。何しろマップが写真をつなぎ合わせて作られているぐらいですから。一昔前のゲーム雑誌の特集付録みたいですね。こういった手作りのにおいが漂う本は親近感が感じられるだけで無く、ゲームをきちんとプレイして作られた証拠でもあります。それだけに冒険のヒントも的を射たものが多く、しかも出し過ぎず惜しまずの水準にあるため、ヒント集としての評価は高く見積もっていいでしょう。さりげなく示された小ネタにも注目です。
さて、懐古趣味があるわけではありませんが、宝島社版の的確なアドバイスに比較して集英社版の作りこみは甘いの一言に尽きます。こんな演出を充実させるぐらいなら、1のときのような付加価値を持たせてくれ、と言いたいぐらいです。正直なところ、俺が集英社版を買ったのは1のキャラクターページにあったようなサイドストーリーを期待したためなのですが…。
しかししかし、そんなことよりも何よりも、目玉記事として打出しているアルティメットアームズガイドは、全く役立たずと言っていいでしょう。その中身は各節目ごとで最も上昇数値の高い装備をズラーッと並べただけ。しかもソウルシリーズやヘブンズクロスの人数分所持を前提に書かれた最終装備など、プレイヤー側の実情を無視していると思わざるを得ません。たった一個でも取るのにどれだけ時間がかかるかわかっているのでしょうか?どう考えても安直な最強装備論に乗っかっただけです。
ここまであまり大きく触れなかった公式本と双葉社版の2種類ですが、作りこみの度合いはどちらもまずまずといったところです。どちらも余談にはあまり触れず、淡々と解説しているからでしょうね。ただ、公式本の戦力評価が随分いい加減な感があります。ボッシュの攻撃力が高いなどと、何を根拠に言うのでしょうか…。他にも特技の解説や合体の能力補正など、ロクにプレイしないで書いているのが一発でバレる書きかた(昔のWalhallaもそうだったけどさ…)をしていますし、シナリオ攻略自体もディースの参戦を前提に書かれているので、公式の攻略本としてはあまり信頼に足るものではありません。さすがは12月25日に出ただけあります。それにくらべたら、プロフィールと特技、究極合体の解説のみを取り上げた双葉社版のほうがマシです。こっちにだって同じ間違いがありますが、究極合体したアスパーの使いどころをきちんと考察していたり、装備品のことまできちんと考えられた起用を勧めていたりなど、評価としてはずっと的確だからです。
上ではディースの参戦を前提にしていることに難癖を付けていますが、ディースが役に立たないという結論につながるものではありません。ディースは元々隠しキャラという位置付けで用意されたキャラであり、その成長傾向も習得技能も隠しキャラとして当然と呼べるものになっています。従ってディースを仲間にすれば旅が楽になるのは必然なのです。隠しキャラに頼らないと攻略出来ない難易度であるなら、キャラとしての位置付けを間違っていると判断するべきで、公式本としてディースの存在に頼らない攻略を展開してほしかったと思います。
このラインナップにあって690円という価格が目を引きます。それでいて内容的に劣る部分があるかといえば、双葉社版や宝島社版と比べても全く見劣りしません。マップが宝島社のと同じく写真のつなぎ合わせなのにキャラを消してあったりするなど、一部では他の2社より作りこまれています。さらに「ヒント出しすぎ」と思えるぐらいに細かい解説(エンディング分岐の条件まで載っている)やチャートが載っており、手引書としては有用かもしれません。
その代わりと言うべきか、モンスターデータがありません。これは人にもよるでしょうが、俺みたいに何度もプレイしたりする人間から見るとかなり痛いです。さらにパーティ編成ではやたらボッシュ&リンプー&ニーナを基準に推していたり、山猫亭ガードマンとのバトルでレイギルの使用を勧めたり(いかに迷ったとしてもこの時点では習得していないのが普通)、ガードアイ戦で老人を回復させるという直接はできない戦法を勧めていたりなど、謎に思う記述も散見されます。シナリオ面の作りが決して悪くないだけに、その情熱を他の部分にも向けてほしかったですね。
ブレス2の攻略本はどれも一長一短な作りで、解体真書シリーズやアルティマニアシリーズのような「1冊で高い完成度を持つ攻略本」というものがありません。尤も、スタジオ・ベントスタッフが出張るほど大それた作品でもないのですが…。そんな中であえて勧めるのは、不本意ながら公式本、ということになります。この時期にSFC版の攻略本を求めるのは現実的ではありませんから…。ただ、いくら公式とはいえ、さっきも述べたようにその作りはややいい加減です。データ集、あるいはアンチョコとしての用は為すでしょうが、そこまでです。キャラ評価や最強装備論などは自分の手で集め、自分の目で見た結果から自分で判断を下すべきで、攻略本に任せるべきものではなく、まして人に聞くようなものではありません。逃げるような書き方ですが、攻略本の選定も同じことです。本来は自分の求める情報を見極め、それに合った攻略本を買うべきです。以上、この文を以って締めとさせて頂きます。