Asche - 死と喪失の狭間で…

たった一人、その場に残されたリュウ。このままデスエバンの言う通り、滅びを待つしかないのか? 使命は…果たされないのか? 俺は…何のために…ここまで来たのだ? 次々と疑問が湧いては消える。

このまま、絶望に流されるのか…?
神に一矢を報いてやるのか…?

死ぬのか!?
生きるのか!?

全ての生者に死を与える存在…デスエバン

死の神を倒すべく生を受けた存在…使命の子

二つの力のせめぎ合いに勝ったのは使命の子の力だった。デスエバンの戒めを砕き、自由を得たリュウの前にあるのは…砕け散ったクリスタルのかけら。

神がもたらした破壊は、絶望という名の爪でリュウの希望を引き裂き、クリスタルのかけらは喪失−二度と戻らないという現実−をリュウの心に刻み込む。10年前、父と妹を失ったあの時…それさえも及ばない孤独感がリュウを襲う。

たとえ奇跡を信じたくても、喪失がそれを許さない。ボッシュの笑った顔…ニーナの悲しむ顔…リンプーの怒る顔…今まで意識することのなかった姿が次々と脳裏をよぎる。その映像が次々と痛めつけられたリュウの心に触れてくる。それは心を許せる仲間であり、護るべき友だった。

砕けたクリスタルに歩みよるリュウの足の裏で、踏まれたかけらが安っぽい音を立てる。へたり込むリュウ。目の奥から熱いものがあふれてくる。

(俺ハ…無力ナノカ? 俺ハ…弱イノカ…?)