「何が竜族だ…! 何が使命の子だ!」
怒りにまかせ、目の前のクリスタルに拳を叩きつける。塊が砕け、破片がが拳に突き刺さる。
「こんなに力を持っていて…大事な仲間も護れなかった…!」
何度も拳を叩きつけるリュウ。他の誰でもなく、自分自身に向けられた怒り。その怒りがさらに悲しみを煽る。
「オオオオオォォォォォ…!」
天を仰ぐリュウの口から、雄叫びとも慟哭とも取れぬ叫びが響く。その長い叫びが切れた後には、身動き一つしないリュウの姿だけが残る。
もう悲しんでいる場合じゃない。
リュウは立ち上がった。ゆっくりと後ろへ向き直り、神が去ったほうへ歩き出す。
「またしても私の結界を破ったというのですか!?
ほんとうに不愉快ですね…リュウ、あなたは…」
ぶっ潰してやる
その感情だけが、今のリュウを動かしている。ゆっくりと神に詰め寄る。それは次第に速さを増し、いつしか走り出していた。
「砕け散るがよい!リュウ!」
神の両手から細い光がいくつもほとばしる。それはレーザーのようにリュウの身体を傷つける。だが、その力ではリュウの進撃を止めることはできない。
視界の先に見える神の姿…それだけを目指し、リュウは走る。背中に担いだ魔剣−ドラゴンブレイドの柄に手をかけ、強く握り締める。リュウの感情を受け、剣が高熱を発する。
目の前まで迫った神の姿…その姿を認め、リュウは半身に構える。走った勢いを乗せ、剣を振った。刃が炎を発し、神に襲いかかる!